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2007年02月09日

ひばり

シアター・コクーンでジャン・アヌイ作・蜷川演出の『ひばり』を見た帰りに近所で食事。
 主人公ジャンヌ・ダルクを松たか子が演じると知って是非とも見たくなった芝居である。野田秀樹の『罪と罰』を好演した彼女ならきっといいはずだ思ったが、予想に違わず終始ハイテンションで且つドライで集中力の途切れぬ演技はこの女優ならではの持ち味を存分に発揮したものといえる。
 ただしキリスト教的宗教観がベースにない日本人にとってはこの戯曲の本質を理解するのはかなり難しいだろう。蜷川演出はその本質に迫り得たものといえるかどうかは疑問もあるが、さほど奇をてらわずにしかし確実にアップデートして現代人の共感を呼ぶ意図が窺え、この緻密な議論劇がそれなりに面白く見られたことは間違いない。アップデートな演出意図の下に造形された松たか子のジャンヌダルクはまさに自分らしい生き方をどこまでも追求し、周囲の無理解と自意識の強さに絶えず苦しむ現代の若い女性そのものの姿とダブって見えるのだった。少子化問題が騒がれる今の日本で若い女性が見るにはもってこいのお芝居かも……などと思ってしまった私であります(笑)。


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