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2006年10月24日

イカと小松菜と菊花としめじの和え物、甘塩鮭

 QPで見た秋らしい和え物はまず材料をそれぞれさっと茹でておく。しめじはただの湯で、小松菜には塩を加え、いかにはさらに酒を加え、菊花は別に酢を入れたお湯に通し、いずれもしっかり水切りをして冷ますこと。和え衣は二杯酢に隠し味としてマスタード、カレー粉をほんの少し入れ、胡椒を足す。和えてからスダチを絞る。日本シリーズ第3戦を見ながら食事。こりゃホントに新庄の胴上げが見られそうな勢いの日ハムだが、内外野共に守備がこんなに堅いチームとはビックリである。
 昨日のニュースで敬語が問題になり、現代日本人の4割が使用法に自信がないらしいという調査報告は、まあ、そんなもんだろうと思ったのだけれど、文化審議会なるものが使用例を事細かに挙げて答申したから、ファミレスに次いでなんとお上までがマニュアルを出すの!と私はいささか驚き呆れたのであった。この問題はどうも本末転倒しているように思われてならない。
 ちなみに敬語の用法に自信があるかと訊かれたら、私は完璧なまでにある!とお答えしたい(笑)のは、その昔30年近く前に勤め先で徹底的に仕込まれたからであります。
 当時大学院に籍を置きながら1年間勤めた先は社長と部長と私の3人しかいない銀座の小さな広告代理店で、劇場のポスターやプログラムに入れる広告を扱っている会社だったのだが、そこの社長が極めて言葉遣いにやかましくて、電話の取り方等をいちいち注意された。誰に対しても同じように丁寧なのはよろしくないと仰言るのである。私はいくら若くても「社長さんいらっしゃる?」と訊かれたら「申しわけございません。〇〇は生憎ちょっと出ておりまして」と答えることくらいはできたのだが、広告主であるお得意先と、劇場等の出入り先、印刷屋さんなどの出入り業者に対するときとでは話し方が当然違ってしかるべきだとまでいわれると、さすがに電話を取るのが怖くなった。1部屋で3人しかいない会社だから、つきっきりの家庭教師のような恰好で電話の取り方を指導され、当時はノイローゼになりそうだったが(笑)、そのおかげで完璧なまでにマスターしたと豪語できるのだから、今となっては大いに感謝している。
 で、その私が今から15、6年前に某出版社の編集者であるAさんに言葉遣いのことで注意したことがあった。Aさん自身はまともな言葉遣いの人だったのであるが、私が某社に電話を入れたとき部下の女性が「Aさんは只今お出かけになってらっしゃいます」と答えたので、それをAさんに話したところ「いやー、そういうことをいちいち指摘したら怖がってだれも電話を取らなくなるので、注意したくてもできないんですよ」といわれたのを今でもはっきりと憶えている。どうやらそのころから敬語の使用法に自信のない人が社会人に増え始めたのだろうと思う。
 一方でこれは社会における人間関係の問題でもありそうだ。言葉遣いを上司に注意されたら怖くて電話にも出なくなるような打たれ弱い若者が社会に増え始め、それをいちいち注意するのも面倒な上司がいて、とうとう敬語がマニュアルでしか使えなくなったという現実がある。それならいっそコミュニケーションを煩わしくさせる敬語そのものを全廃したほうがよいのではないか、と、私なんかは思ってしまうのである。
  言葉とはそもそもコミュニケーションの手段であって、自分の考えや気持ちをいかに正確に相手に伝えられるかが基本だ。それに加えて日本人は相手との力関係や距離感までも微妙に表現できるセンシブルな言語を発達させた。人間関係に極めて敏感で且つ重視している日本人気質があってこそ敬語は成立したのである。こういう関係だからこういう言葉遣いにするというマニュアルが先にあるのではなくて、こういう言葉遣いだから私たち(この人たち)はこんな関係だろうなあと当事者及び周囲に推察させるのが日本語本来の姿であった。敬語のマニュアル作りでその場しのぎをしても仕方がない。良い意味でも、悪い意味でも、敬語が維持できなくなった日本社会の変貌をきっちり認めることこそが今後に意味のある取り組みだと私には思われるのだが如何。


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コメント (8)


敬語といえば、歌舞伎役者の話し方が不思議です。
伝統芸能だから一般人の尺度で測っちゃいかんのかな、と思いつつも、やっぱりなんかヘンかなといつも思います。
アレはなんなんでしょうか?
父が師匠だというのはわかりますし、師匠ってのは会社の上司とは違うのだろうなぁとも想像できるのですが…父親が最上級の敬語って天皇家以外にも存在するとは。

身の回りでは、取引先に電話をかけて受けたオネーサンに「猫並様でございますね」と言われるたびに、下請けフリーランサーだから意識的に下げられているのか、ただ間違ってるだけなのか、気になって仕方がありません(^^ゞ

投稿者 猫並 : 2006年10月25日 09:19

>敬語といえば、歌舞伎役者の話し方が不思議です。
>父が師匠だというのはわかりますし、師匠ってのは会社の上>司とは違うのだろうなぁとも想像できるのですが…父親が最>上級の敬語って天皇家以外にも存在するとは。

これはひょっとして海老蔵のことでしょうか?
私は見てないのですが、以前、妹がTVで海老蔵のインタビューを見て、団十郎に敬語を使ってるのがとてもおかしく聞こえたと私に電話をしてきたので、もしやと思ってお尋ねします。他の歌舞伎役者も同じように父親に敬語を使ってるのでしょうか?もし多くの歌舞伎役者がそうだったらこれは問題なので詳しくお知らせください。松竹の人に会ったら役者の教育がなってないと文句をいいます。
で、海老蔵の件は妹に「お姉ちゃん注意したげえな」といわれたのですが、そのインタビューを私自身が見てなかったもので、どこがどうおかしかったのかをきちんと指摘できない以上、彼の関係者に話すわけにもいきませんでした。

投稿者 今朝子 : 2006年10月25日 23:02

はい、あの時の海老蔵が一番印象的でした。
團十郎に対して尊敬語を使って第三者へ語る…これって、やろうと思っても意外と難しいような気もして、単に間違ってるとも言いづらい気すらしました。映画の宣伝に、NHKに出たときのことですが。
それ以外でも、例えば七之助が暴れた時の謝罪会見でも父に迷惑をかけたという語り口に違和感を覚えたのですが、ちょっと前のことになるので敬語のせいだったかそれ以外が原因かわかりません。
菊之助が映画「怪談」の会見で祖父・梅幸について語っているモノは、全員に対して敬語で、凄く丁寧だけど結果的に誰も敬ってないようにも聞こえたりして。これも会見を見たわけじゃなくて、それをクリップしたCMを見てるだけなので私の誤解かもしれません。
ただ、歌舞伎役者の口調は、なんとなく丁寧だけどヘン?な気が、いつもしています。この次見るときには、何がヘンなのかチェックしながら見なくちゃ…判ったら改めてお伺いします。

投稿者 猫並 : 2006年10月25日 23:30

はじめまして、(図々しくも)雲の絶間姫と申します。ブログも著作もいつも楽しみに拝読しています。
私が不思議に思うのはその「彼の関係者」の皆さんがどうしているのかということです。海老蔵のような、ああいう御曹司のTV出演やインタビュー記事を関係者が誰もチェックしてないことは有り得ないと思うのですが、成田屋さん、チェックが甘いんでしょうか?いや、甘いのはそもそも團パパでしょうか?一度ならばまだいいとして(いいのか?)、最近の露出が多かった期間中ずっと修正されなかったので。ちょっと残念。

投稿者 雲の絶間姫 : 2006年10月25日 23:44

>猫並さんへ
早速のお報せありがとうございます。
最近芸能ニュースにご無沙汰していて、とくに歌舞伎役者だと、まあいいや、別に大したこともいわないだろうし、と、パスしてたのですが、今後は目にしたらちょっと気にして見ようかと思います。
>歌舞伎役者の口調は、なんとなく丁寧だけどヘン?
確かにそうかもしれません。これは彼らが広い意味での身内と接する時間がほとんどで、ふつうの社会生活をきちんと送れていないことに原因があるような気もします。

>雲の絶間姫さんへ
>私が不思議に思うのはその「彼の関係者」の皆さんがどうしているのかということです。一度ならばまだいいとして(いいのか?)、最近の露出が多かった期間中ずっと修正されなかったので。ちょっと残念。

妹にも同じようなことを聞かされました。ふつう親が注意するだろうに!と仰言りたいところでしょう(笑)。これは私も親しい「関係者」にそれとなく訊いてみますが、彼はそれこそ敬語が使えないイマドキの若者で、きちんと丁寧に話さなくてはと真剣に取り組んだあげく勢い余ってヘンな言葉遣いになってしまったから、それを注意すると可哀想だと周囲は思ったのかもしれないなあ(笑)くらいに私は考えています。
 とにかく私の世代だと、歌舞伎役者なんて別に社会的にそうちゃんとしている人たちだとは全く思ってなかったのですが、
今は伝統文化の担い手として位置づけられているようなので、関係者も若い歌舞伎役者にきちんとそれなりの自覚を持たせなくてはならないのでしょう。この点については本当に近々会う関係者(彼の御両親ではありませんが)に話しておこうと思います。


投稿者 今朝子 : 2006年10月26日 09:19

 はじめまして、羊猫と申します。
海老蔵の言葉使いは、もうめちゃくちゃで襲名の時のインタヴューでは、目が点になりました。NHKのインタヴューでも友達に話すような言葉使いで、お父さんに対するときは敬語です。
でも最近映画のインタヴューを見たときには、いくらかましになってましたよ。お父さんのことは前は、「うちのオヤジ」、最近「うちの父」といっているのを見ました。でも、襲名の時は敬語を使っていたような。
 あと、これは話がずれるのですが、襲名の時「永山会長のおかげをもちまして、、、」という挨拶は、どうなんでしょうか?非常に違和感があるんですが。 
 

投稿者 羊猫 : 2006年10月26日 10:59

>羊猫さんへ

>襲名の時「永山会長のおかげをもちまして、、、」という挨拶は、どうなんでしょうか?非常に違和感があるんですが。

 ごもっともです。二、三十年前はもちろんあんな厚かましい挨拶(笑)はありませんでした。いつの頃からかご本人が読売グループのナベツネ状態になってしまったということもあるし、役者が若返って抑えのきく人がいなくなったこと、松竹が自らを勧進元として強くアピールしなくてはならなくなったこと等々さまざまな理由があるものと思われます。興行の世界はなかなか厄介で、力関係もそのつど変化するので、今後彼がいなくなったらどんな挨拶になるか、あるいは襲名の興行価値そのものがもうなくなってしまうか、先のことは誰もわかりません。

投稿者 今朝子 : 2006年10月26日 20:51

歌舞伎俳優親子の敬語について、皆さんのご意見、楽しく読ませていただきました。歌舞伎は御曹司という特別な環境がまかり通っている(最近では会社でも有りそうですが)世界ですが、同じ古典芸能でも噺家の世界や狂言の世界では、父ではあるが、あくまでも師匠!!世間から見れば御曹司でも弟子なんです。なので普段でも敬語で話しておられますね。(家族だけの集まりだったら、すこし曖昧敬語になっているようですが)一年でも自分より先に入門なさった方は兄弟子になりますので、もちろん敬語。じぶんより後に入門した人にだけ普通に話していますが、話されてる相手は兄弟子と話してるわけだから、敬語。結局 普通語同士の会話は、少ないんです。(笑)
若手でも、全員がこのパターンですので、下手な会社より立派カモ!!歌舞伎界でも、昔は父の弟子は自分の弟子では無いのですから、もう少し秩序があったように思いますが、最近は一般家庭共々、そういう家庭での躾ってなくなりましたネ。

投稿者 yasuko : 2006年10月31日 15:28

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