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2006年09月13日

鰺の干物、里芋と生麩の炊き合わせ

 鰺の干物は大家さんから頂戴した小田原産。生麩は京都の実家から送ってきた「麩嘉」製。炊き合わせが、見場はともかくなかなか美味しくできたのは、佐原の「最上白味醂」と播州の限定薄口醤油「龍野乃刻」のおかげだろう。材料と調味料が良くて、舌さえ確かなら、料理はだれでもできるのである。
 それにしても今は情報も増え、輸送も便利になって、素人でもやる気を出しさえすれば美味しい料理がいくらでも作れるのだから外食産業の方々は大変だろうと思う。私が子どものころは日本料理屋の娘なんて非常に珍しくて、学校で先生にいくら説明しても理解してもらえなかったのがまるで嘘のようである。
 料理屋の子というと、いつも美味しいものばかり食べていたように思われるが、やはり相当食べていたのである(笑)。ただ一家団欒の食事というものが、恐らくふつうの家庭にはない緊張感に満ちていて、ふだんは板前さんたちが試作する料理を食べては批評をし、店が休みの日は他の料理屋に食べに行ってそこでも批評しまくるのだった(笑)。このブログでおわかりの通り、私が何かにつけて批評がましいのは子どものころに染みついた習慣の延長線上にあるのだろうと思う。
 もともと食い意地が張ってるから別になんでも美味しく食べてしまえるのだが、そうすると「ようそんなまずいもんが食べられるなあ」と親が軽蔑するし、食べてから必ずこの味をどう思うかと訊かれたりするので、食事ってもう少し何げなくできないんだろうかと子どものころはいつも思っていた。で、自分がだれにも邪魔されず好きなものを好きなように食べる生活を目指して今日に至ったのである。
 このブログには毎晩の食事をずっと書き綴っているから、よくそんな面倒な真似ができるなあとお思いの方もおられるだろうが、かつてのわが一家の食事の煩わしさからみれば、こんなことは屁でもないのであります。
 


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