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2006年09月02日
海鮮おこげ、青梗菜の塩炒め、雲呑ほか
シアタートラムで「ダム・ショー」を見た帰りに隣のパブリックシアターで「敦」を見た進藤さん、守部さんと近所で食事。
野村萬斎演出・主演の「敦」は前回見たのでパスして、浅野温子の「コワレタ」演技を小劇場でという一種の怖い物見たさで「ダム・ショー」にしたのだが、意外とこれがなかなか悪くない舞台だったのである。
今の日本でいうと、みのもんたのような芸能人に、ある日信託銀行の顧客対象講演会をマネージャー抜きで依頼する男女があらわれて、うっかり引き受けたら、このふたりが実は東スポの記者だったというような設定のストーリーで、女性記者の色仕掛けによって、その芸能人が実はヤク中で売人もやっていて、マネージャーやプロデューサーと不仲で、離婚係争中で、おまけにその妻は悪性腫瘍に冒されているといった暗い事実がどんどん引き出されてゆく。お茶の間で愛されている芸能人が日ごろ視聴者をどう見てるかについても相当に露悪的なセリフがちりばめられた毒気の強い業界ドラマで、結局は芸能界とタブロイド・ジャーナリズムの持ちつ持たれつ的関係を皮肉に描きだしている。
英国の芝居だから大衆誌SUNなどをイメージしているものと思われるが、翻訳物にしては日本で感覚的に理解されやすい戯曲だと思う。もっともそんなに優れたドラマというわけではなく、皮肉がきいた小品の部類。ただ非常によかったのは芸能人役を演じた浅野和之で、以前から巧い人ではあったが地味な感じの人だけに、有名芸能人の役は最初どうかと思われたが、この人ってこんなに器用だったの!と唸るほど達者な演技で芸人らしさを巧く匂わせた好演だった。翻訳劇で外国人女性を演じる分には浅野温子のオーバーアクションも却って効果的に見えるのがおかしかった。
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