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2006年08月27日

夏休みの旅行

 8/25は実家「川上」の後継者である加藤君のご案内で、まず彼のお兄様がオーナー兼シェフの中華料理店でご馳走になってから名古屋港水族館でウミガメ繁殖施設を見学(写真はアカウミガメの接写)。そのあとセリエAのトッツィーファンである妹に付き合う格好で隣接するイタリア村へ。ここは比較的新しくできたテーマパークで、この手の中では一番当たったという話である。テーマパークというよりもお台場のアウトレット街に似た感じかもしれない。乗り物の類はゴンドラと馬車くらいで、狭い空間にちまちまとイタ物ショップを並べたあたりがきっと羽振りのいい名古屋お嬢のハートを射止めたってとこだろうなあ……なんてバカにしたようにいってる私自身、カメマーク入りの人気ブランドCARPISAのバーゲンを見てバッグと財布をゲットしたのだから世話がありません(笑)。で、とにかく水族館とテーマパークを非常に慌ただしく見てまわった末に、夕方5時には家族と別れて私は独り中央線で恵那に向かった。
 名古屋では1時間足らずで行ける身近なリゾート地として知られる恵那も、東京や関西人にとってはそれどこ?と言う人のほうが多いだろうと思うが、私がこの地名を知ったのは所属する乗馬クラブの系列馬場があったからである。例の落馬後に神経痛っぽい症状が強く出たとき、名古屋近辺の温泉をネットで探したらたまたま「恵那ラヂウム温泉館」というのがヒットしたので、ならここでいいや、と安易に決めてしまった。ネーミングからしてあまり多くは望めない鄙びた温泉旅館だと思っていたのだが、意外や意外、そこはかなり風変わりな宿で、なかなか面白い体験ができたのである。
 ネットで見たら本館の部屋と離れがあって、離れの料金は多少割高になっているものの、一般的な宿代を基準にすると決して高いわけではないので私は離れを予約したのだが、それがまず離れという響きから想像するイメージとはおよそかけはなれていて、むしろ和風ロッジと呼びたいような平屋建てが広大な敷地に何軒かあり、私はそのうちの一軒8畳2間の家(写真)の鍵を渡されてそこに独りで泊まることになった。むろん風呂場に行くには外を延々と歩くのだが、その間だれにも会わず、滾々と湧き出るかけ流しの広いお風呂が貸切状態という飛びきりの贅沢さ。さらに驚いたのは一応は旅館なので、食事は遠いところからしっかり運んでくれる。それもきっとありきたりの冷めたマズイ旅館料理だろうと思っていたのがまたみごとにハズれて、何度かに渡っていずれも熱いうちに運んでくるのがありがたく、品数を、えっ、コレだけなの?いいたいくらいに絞りきって、下手な刺身なぞは出さずに、飛騨牛の陶板焼き、合鴨ロースの叩き、鮎の塩焼き、土瓶蒸しと、地の物だけで揃えているから、いずれもけっこう美味しく戴けたのである。
 チェックインからお運びまで忙しく立ち働く若い女性はきりっとした美人で、私が料理を賞めたら「お客様にそう仰言って戴くのが何よりうれしいです」と実にしっかりした受け答えをなさるから、「こちらのお嬢さんですか?」と訊いたらやはりそうだとのこと。「兄が厨房におりますので、お客様のことを伝えたら歓ぶと存じます」との話で、「ひょっとしてこんな広いところをご家族だけでやってらっしゃるの?」とさらに訊いてしまい、「お手伝いに4,5人来てもらってますが……」とのことで、やはり小規模な家族経営の旅館なのだった。
 界隈は昔そこそこ栄えた温泉街だったのだけれど、奥のほうに大規模なホテルが進出してその煽りで櫛の歯が欠けるように消えた旅館が多く、「うちも少人数で出来ることは限られているので、できることだけきちんとやっていこうと思ってます」という彼女のしっかりした発言には感動してしまった。立派な岩組で造られたお風呂は流行りの露天ではなく、しかも換気扇もわざと付けていないのは、ラジウムが鼻から蒸気を吸い込むと一番躰にいいからだという話を聞いて、そのことも料理の品数を絞っているのも「できることだけきちんとやっていこう」というこの旅館のポリシーだと納得できたのである。
 ネットで探したらたまたまHPが目についたのでここに決めたのだと話したら、彼女は嬉しそうな且つ面映ゆげな表情で「今はやはり情報も大切だと思って、あれは私が人に教えてもらって、下手くそでもなんとか自分で作りました」と仰言ったので、ああ、こういう地に足が着いて前向きでいられる若い人は本当にステキだなあという気がした。老いも若きも世の中の情報に躍らされて余計な羨望に駆りたてられ、却って失意をこうむることも多いなかで、こうして情報も大切だと口にしながら身の丈にあった生き方を選び取るタフな精神力と豊かな心を持つ若い人だってまだいるのだから、やはり世の中けっして捨てたもんじゃないなのであります(つづく)。


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