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2006年08月22日
中華弁当、もっちり豆腐
整体治療の帰りに東横のれん街でゲット。
きのうの失敗で今日は2度に渡って外出するはめになった。
まずは朝から広尾の中央図書館に出かけて、資料が出てくるのを待つあいだ、開架式の書棚を何げなく見ていたら『動物と人間の考古学』という魅力的なタイトルの本が目についた。私はいま人類が馬に乗り始めたのはいつ頃で何がきっかけだったのかというようなことに興味があるので、ひょっとしてその手のことが書いてあるかも、と期待しながら手にとって、パッと開いたところの章タイトルに目が釘付けとなってしまった。
「堂島のスッポン遺体について」なんじゃコレ???ってな感じでミステリアスなタイトルに魅了され、しかも大好きな亀の話でもあるし(笑)、私は思わずその章を最後まで読んでしまった。で、要は江戸時代に諸藩の蔵屋敷が密集していた堂島の跡地で大量にスッポンの骨が出てきて、どうやらスッポン鍋を食べていたらしいというのが判明し、その骨を事細かに調査してみると(本には骨の写真が満載)、江戸時代のスッポンの捌き方は現代のそれとほとんど変わらなかった!という事実がわかったそうなのである。だからどうよ!などと言ってはならない。うっかり全文を読んでしまった私がバカなのでした(涙)。
まあ、人生、何をやっても死ぬまでの暇つぶしといえなくはないのだけれど、この前世田谷パブリックシアターでカブト虫のアフォーダンス映像を見せてくださった先生にしても、人文系の学者さんには究極の暇つぶしを発見して幸せになっておられる方が多いような気がする。スッポンの捌き方なんて昔からそう変わらないことくらい別に調べなくても常識で考えたらわかるんじゃないの?と思うのはシロウトで、それをマジに調べちゃうのが学者なのだということは一時大学院に籍を置いていた私にはよくわかるのであった。
お勉強が好きでマジメな人の危険性については芥川龍之介が「常識」という短編寓話で端的に書いているが、人文系の学者さんなら比較的自己完結的だからまだいいのだけれど、これが官僚とかになるとそういった常識を欠いたマジメさが大いなる災いをもたらすのである。なぜ巨大な湖を干拓してまで農地を増やしておきながら、その後減反政策をしなくてはならなかったのか。なぜ車がめったに通らない道路や橋がどんどん出来てしまったのか。なぜ若年人口が減少してるのに大学がまだ増え続けているのか。すべては常識を欠いたマジメな官僚たちが、悪気もなく、ただマジメに計算をしていたらそうなってしまったのである。
私より若い世代の人たちを見ていると、ある面で私たちよりずっと優秀なのだけれど、優秀な人に限ってマジメなのがちょっと困るなあと私はときどき思うことがある。私が昔大学院で見ていたマジメな学者さんは物事をけっして根本から疑ってかからない人が多かった。そして自らを正しいと思い込んでいるのが実に困りものだった。日本もここまでぐ人倫が乱れるとその反動としてマジメさが讃えられ、マジメで且つ自らを正しいと思い込む若い人が増えるだろう。それがちょっと怖いなあと、私は今から憂慮しているのである。
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